第3回公演、ありがとうございました

                                                  野村 勇(作・演出)


             

 11月1日(火)2日(水)、劇団こむし・こむさ復活第3回公演(「啄木の蒼き影法師」)を、日暮里のd-倉庫にて実施することができました。たくさんのお客様にご来場いただき、心からお礼申し上げます。こうして3年目を迎えることができましたのも、お客様の存在があってのこと、感謝申し上げます。

 上演後のご挨拶の際に、「現代のお話ではなく、明治時代の実在の人物を取り上げた今回の作品は、私たちにとって、新しいチャレンジでした」と申し上げました。お芝居は生き物ですので、過去のお話であっても、現在生きている私たちに通じる、何かを表現しなければ、その意味がありません。それが果たして成しうるのか? 一番のチャレンジはその点にありました。今回もまた多くの方々に、ご意見・ご感想をお寄せいただきました。ありがとうございました。1枚1枚拝読させていただき、私どものチャレンジが、どのくらい達成できたのか、確かめていきたいと思っています。

 今回のお芝居で、もう一つチャレンジをしたことがあります。演者はセリフを言いますが、セリフ以外の発声を、今回は意識的に取り入れてみました。具体的には、民謡、読経、詩吟、口笛、寮歌の放吟、書物の朗読などをはさみ込んで、お芝居に色合いの変化・テンポをもたらそうと考えました。また、端唄を伴奏にした踊りを差し入れる試みもしました。その試みが果たして、うまく機能したのか、という点も検証しなければならないところです。

  このチャレンジの実行にあたっては、実は多くの方にご協力をいただきました。その方々のお力添えがなければ、「啄木の蒼き影法師」というお芝居は日の目を見ることができませんでした。詩吟と日本舞踊、2人のお師匠さんにつきましては、幸いそれぞれご紹介してくださる方がいて、教えを乞うことができました。明治時代のお芝居を上演するということは、その時代に合った衣裳や小道具を集めることに苦労するということでもありましたが、その点でも相談に乗ってくださった方々がいました。衣裳を快く貸してくださったり、作ってくださったり、持ち道具や髪飾りを貸してくださいました。

 今回に限りませんが、劇団こむし・こむさに欠かせないのが、音響家と照明家の存在です。2人の専門家のバックアップがあってこそ、私たちのお芝居は成り立っていると自覚しています。また、自分たちでは調達できない小道具や衣裳は、それぞれ、その道の老舗の会社からお借りしているのですが、その会社の担当者の方のご協力もありました。今年のお芝居にも客演者がおりましたが、当該の俳優さんは勿論のこと、客演を許諾してくださいました事務所にもお礼を申し上げなければなりません。さらに言えば、劇場の担当者のご配慮、スタッフや制作協力者として公演にかけつけてくれた仲間たち、……言い尽くせませんが、多くの方のお力や思いが集まらなければ、決して芝居を創りだすことはできないのだと、いつもながら実感した次第です。

 そうやって創りだしたものは、劇場という場に足を運んでくださるお客様があってこそ、初めて演劇として成立するのだとも、公演後の今、しみじみと感じております。さて、次回は第4回公演となります。作品の構想はすでに思い描いておりますが、どのような作品になっていくのか、未知の部分が多くあり、自分でも楽しみでもあり、不安でもあります。第3回公演よりも進歩したものをお見せできますよう、また新たなスタートを切ります。第3回公演にあたりまして、本当にありがとうございました。
 (野村勇のブログ「こむし・こむさの日々」より)