第6回公演終了いたしましたーありがとうございました 野村 勇 ありがとうございました 2019年12月7日(土)、劇団こむし・こむさ第6回公演をおこなわせていただきました。 お詫び まず、お詫びしなければなりません。 日頃、観客として、お芝居が定刻通りに始まらないことがあると、「何をやっているんだろう」とヤキモキする私が、今回は長らく開演を遅らせる失態をしてしまいました。 受付のあり方、ご案内の仕方、さまざまな反省点がございます。このたびのようなことが発生しないよう、次回以降、改善してまいります。どうかお許しくださいますようお願いいたします。 皆様のご感想・ご意見 皆様方にお寄せいただきましたアンケートは、ただいま集約をしているところです。アンケートのほかにも、メールや口頭にて、たくさんのお言葉をいただきました。その一つ一つに対して真摯に向かい合い、次回への糧とさせていただきます。 原作者のご家族のご配慮・ご協力 『トラック島のヘル』は、広田和子氏の著書『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』(新人物文庫)の中から、芸者菊丸さん(お芝居では菊千代とさせていただきました)のエピソードを取り上げ、舞台化したものです。 広田和子氏は2018年に急逝されたため、ご家族の方に舞台化の許可をいただき、台本をお読みいただくところから、制作の仕事がスタートしました。プログラムにも書かせていただきましたが、ご家族には多くのご配慮・ご協力を賜りました。 共同作業の歯車 今、「共同作業」という言葉を使いましたが、思い起こすと、今回の舞台は、さまざまな「共同作業」によって作り上げられたような気がします。 もともと演劇は、戯曲、演出、演技、装置、照明、音響、制作、表方……、専門的な各パートが、有機的に組み合うことによって成立するものですが、必ずしも、その組み合いが上手くなされるとは限りません。どこかに齟齬があったり、足らない部分があったりします。 しかし、劇団こむし・こむさも、遅々とした歩みながら、これまで歩み続けてきたおかげでしょうか、……今回の第6回公演では、「共同作業」の歯車が、いつもより滑らかに回転してくれたように思います。 演技者と演技者の共同 「共同作業」の進展は、演技者と演技者の間にも見られました。 衣裳などについては意見を言うことがあっても、ほかの演技者の演技に対しては、あまり、ものを言うことがなかったメンバーが、今回は積極的に、感じたことを発言することが何度かありました。言葉数の少ないその評言は、的確で鋭いものでした。 演技者同士が腹蔵なく、意見を言い合える稽古場。そんな稽古場をこれまでも望んできましたが、なかなか実現されないできました。けれど、今回の稽古場からは、変化のきざしを感じることができました。 客演者の助け舟 またある日、私はある演技者=Aに、ある場面で、「そこで、声を出して笑おうよ」と言いました。……しかし、Aは笑えませんでした。Aが笑うことによって、その場面の雰囲気が俄然変化すると考えていた私は、再び、「声を出して笑う」ことを要求しました。……だが、やはり出来ません。 何度目かの稽古のときでした。今回客演をしてくださった松本藍果さんが、稽古の合間に、Aと、演技のやりとりを自主的にしているのが目にとまりました。 果たして、次の稽古のとき、Aは楽しそうに笑うようになりました。客演者の助け舟によって、私は演出の意図を諦めずに済みました。 台本の修正 台本のセリフをたびたび修正するクセが、私にはあります。 今回も、何度も修正を繰り返し、合計すると2~30枚の新しいページを演技者に渡し、前の台本と差し替えてもらいました。 基本的には、自分の考えで台本を改めていきますが、今回は2度ほど、人の言葉をキッカケにして、台本を改訂するということが起こりました。 1度目は、表方の協力者が、稽古の様子を見に稽古場にやってきたときに発した言葉が、改訂のキッカケになりました。もう1度は、稽古場から最寄りの駅に向かう道すがら、客演者が発した言葉を聞いて、改訂を考えました。これもまた、「共同作業」の1つであったと思います。 おこがましいのですが 劇団こむし・こむさの音響・照明は、ずっと市来邦比古氏と、安達直美氏が引き受けてくださっています。これまでも、専門家として、私どものつたない舞台を、音で、光で、引っ張り上げてきてくれました。ですから、「共同作業」などと言うのは大変おこがましいのですが、今回、「はっ」とさせられることが幾つもありました。 「光」との共同 今回の装置は、天井から、ある工事用に使われるテープを吊るしました。巨大な鳥籠のような、閉塞的な状況を表現しようとしたものです。舞台奥のホリゾントの部分だけでなく、舞台前面の左右にも、2本ずつテープを吊り下げました。 その舞台前面のテープを見逃すことなく、照明家さんは「光を当てる」ことによって、閉塞感の表現に力を貸してくれました。(その照明を見て、私は思わず心の中で快哉を叫びました。) 「音」との共同 音響家さんもまた、私が想定していなかった音を、要所要所に入れてくれました。
第7回公演に向かって 次回は、2020年10月13日(火)シアターXにて、第7回目の公演をおこなわせていただくことになっています。 どうか、また足をお運びくださいますよう、お願いいたします。 (野村勇のブログ「こむし・こむさの日々」2019.12.11より)
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